検討項目は◎直径比率・体格体重差・乗り越え能力と◎入手性があり、結論を述べると、人にもよりますが今のところ26インチのタイヤが自転車旅行には適してます。
※2020年追記:このブログを記した時より26インチが優位とは言えない状況になってきていると思います。現在シマノ10速ではリア カセットスプロケットの最大歯数が42歯等の大きい歯のスプロケットが容易に入手可能で、ギア比の優位が薄らいできています。
それと、現地での入手性も現状はどちらとも言えず、必ずしも26インチの入手性がいいとは言えなくなってきています。
そのため、年単位の長期旅行で、行く場所が未確定であったり流動的で、荷の量が多くなりそうな場合は26インチがいいのではと思います。それ以外は、ギア比を考えたパーツ構成であれば、27.5インチや700C でもいいのではと思います。
※ETRTO(エトルト)とはEuropean Tyre and Rim Technical Organisationの略でビード径(mm)を表す規格です。
◎直径比率
26インチのETRTOは559mmで、700Cは622mmです。単純計算すると約1割違います。実際の走行ではタイヤの外径が影響しますが、単純な比較の為ここではETRTOでの比較とします。
この直径比の違いは同じギア比だと、26インチのほうが700Cと比べ約1割、軽い踏み込みでペダルを回せます。これは荷を積んだフルパッキングで峠越えをした場合、26インチの方が坂道で押し歩きの機会を少なくすることができます。
押し歩きは自分の体重を足で支えなければならず、通常走行のサドルで体を支えた状態より大きな労力を使います。そして、経験があれば分かると思いますが、急な坂の場合は腕への負担もかなりのものになります。路面に砂がかかってる場合などは横滑りをし、押し歩きさえ困難になります。
押し歩きは労力が数倍上がる移動方法、路面によっては押し歩きに苦労する場所もある。 (撮影地 ジョージア) |
これは、日本のような良好な環境下にいるときの脚力から選定するのではなく、長旅での疲労、衛生環境や山岳走行での体調悪化も考慮に入れ機材選定をするようにします。それにより、体調不良や疲労困憊な状況でも行動可能な機会が増えることになります。
それと、山岳地帯は大抵雄大な風景で、日本にはない景色が広がっています。走破するだけで一杯一杯の状態ではなく、可能な限り余裕が生まれる機材選定をしたほうが、風景を楽しめる機会が増えることになります。
連日のフルパッキングの走行、日本にないスケールの大きさ、体調不良等を考慮した機材選定が重要になる。 (撮影地 ペルー、ナスカ~クスコへの道) |
自転車走行は体格、体重が大きいとそれだけ有利なペダリングが可能になります(特に平地では)。正確には動力・体重比率で、フルパッキングの場合は動力・体重荷物全量比が参考になります。
欧米メーカーのアドベンチャーバイクに700Cが採用されているのは、欧米人の平均的な体格、体重が大きいことが理由の一つだと思います。それと、積荷をそれ程想定していないのもあると思います。
日本人の平均的な体格と体重を考えると、大きい人は別として、フルパッキングの自転車旅行では先述した理由で26インチのほうがいいのではないでしょうか。たとえ欧米人のように体格が大きくても26インチのほうが楽に走れるのは変わりないので、26インチのほうが適してると思います。
・乗り越え能力
ホイールの直径が大きい程、乗り越え能力は高まるため、26インチより700Cホイールのほうが乗り越え能力が高まり、効率よく快適に走行することができます。
ロードのように空気圧が高めで、高速走行だと少しの凹凸でも乗り越え能力が影響します。一方、荷を積んだ自転車旅行の場合、時速15km前後といった低速で、リム打ちパンクを防ぎ快適性を保つため、空気量がありクッション性のあるタイヤを採用しているので、乗り越え能力の影響は少ないです。また、MTBと違い自転車旅行では、乗り越え能力やトラクション性の多少の違いが走行に与える影響は小さいです。
その為、26インチと700Cを比べた場合、少しの差の乗り越え能力の違いよりも、踏みの軽さや次の購入のし易さのほうが選定要素としては優先されるのではないでしょうか。
◎入手性
タイヤが修復不能になった時、本格的に使用する良質なタイヤは郵送してもらい、その間に現地で代替的に購入し、走行できるかどうかが入手性になります。700Cと比べ26インチのほうが今のところ入手性はいいようで、途上国では少なくとも700Cよりは入手性がいいのは確実のようです。
ヨーロッパでは、定評あるシュワルベ マラソンプラスが比較的容易に手に入る。 左側の使用したのは走行距離約15,000km (撮影地 フィンランド) |
しかし、この状況は変わっていく可能性があります。26インチが普及したのは、かつて26インチMTBが全盛期の頃、中古車が途上国へ普及し世界的に26インチの入手性がよくなった経緯があります。
現在MTB界では29インチ、27.5インチが主流で欧米の競技志向の店では26インチは扱ってないところもあると聞きます。この流れが将来的にどの程度途上国へ普及していくのかが今後の判断材料になります。
現地での流通が将来的に変わる可能性はありますがまだ先の話で、変わったとしても26インチが全く入手できなくなるのは考えられません。また、踏みの軽さ等を加味した場合、体格や体重に恵まれた方は別とし、フルパッキングの自転車旅行では26インチが最適なのは変わらないのではないでしょうか。
以上が結論として、フルパッキングの自転車旅行の場合、人にもよりますが今のところ26インチの採用が最適になります。